「シュレディンガーの猫耳少女」の世界
彼女たちを取り巻く世界や用語について。
さ
魚
ジルヴィアの大好物。
猫耳少女は動物の猫と味覚が似通っている……というわけではない。魚好きは猫耳少女に共通のことではなく、ジルの個人的な好みらしい。
猫耳少女たちの味覚は、基本的に人間とほぼ同じのようだ。
産業革命と衣服(1)
猫耳少女たちが暮らす時代、繊維工業上にもひとつの革命が起こる。
十八世紀以降、織機や紡績機が急速に発達したことにより、衣類や糸の生産効率が増大。その結果、当時の住人の衣生活は大きく変化していったのである。
産業革命と市民生活
産業革命期は都市部に労働者が集中し、人口過密により住環境・治安の悪化が起こった。そのために町の一部がスラム化するなど、新たな社会問題が発生する。
猫耳少女たちが暮らしていた時代は、工業の発達により市民生活が豊かになったが、その裏には闇もあったのである。
し
シャムとの出会い
ジルヴィアが猫のシャムと出会ったのは、彼女が寄宿舎に住み始めてから。
元々シャムは野良猫であり、ある日突然寄宿舎に現れて暮らし始めた。
しかし、毛並みや行動における品の良さなどから、野良猫とは雰囲気が一線を画している。
シュレディンガー博士は誰かの飼い猫が脱走したのではないかと考え、本来の飼い主を探しているが、未だに見つかっていない。
《十二の頭を持つ蛇》(1)
裏社会で暗躍する組織で、財政界や学術界などにかなりの影響力を持つ。しかし、活動目的や構成員、成立の経緯などについて、公式な文書に一切記録がない。元々は十二人のメンバーがいたが、現在は一人欠けて十一人で構成されているという情報もある。
最近彼らは、猫耳少女が住む寄宿舎に興味を持ち始めているらしいが……。
《十二の頭を持つ蛇》(2)
この組織を構成する12人は、『人間ではない』と言われる。たった十二人で裏社会の重鎮となるためには、並外れた知能と行動力が必要と考えられるため、彼らが常人でないことは間違いない。しかし、『人間ではない』という噂の真意は不明である。
かつてドイツのとある町で起こったという組織抗争事件『マルクトの失楽』に、《十二の頭を持つ蛇》が関わっていたようだ。
《十二の頭を持つ蛇》の位階
《十二の頭を持つ蛇》に所属する十二人の錬金術師は、神秘学思想に基づき、それぞれ『ケテル』『コクマー』『ビナー』『ケセド』『ゲブラー』『ティファレト』『ネツァク』『ホド』『イェソド』『マルクト』……といった、『生命の樹』のセフィロートに照合する位階を与えられている。
しかし、『生命の樹』のセフィロートは十種類であり、十二人のうち二人は、そのセフィロートから外れてしまう。《蛇》のメンバーでも、この二人に与えられた位階を知る者はほとんどおらず、彼らの中でさらに特殊な位置づけになっているようだ。
シュレディンガー博士(1)
年齢不詳の若き研究者。寄宿舎の管理・所有者だが、世界中を旅して回っているため、寄宿舎にはいないことが多い。
研究対象は、世界中に存在する猫耳少女たちの生態や能力など。そのために協力してくれる猫耳少女たちを、寄宿舎に連れ帰って保護している。
一応は猫耳少女たちの保護者ということになるのだが、柔和な性格のためか、普段は猫耳少女たちに振り回されてばかり。
……かつて、彼と瓜二つの天才錬金術師がいたという噂がある。
『シュレディンガー』の一族
裏世界で囁かれている噂として、『シュレディンガー』とは個人名ではなく、代々受け継がれていく名前なのではないかと言われている。ただし、その名は血筋によって継承されるという説と、猫耳少女を保護・監視する役割をもった者に与えられるという説がある。
シュレディンガー博士の装備シリーズ(001)
中折れ式リボルバー拳銃。
産業革命当時、薬莢を使うタイプの拳銃は開発されたばかりで、使える弾丸はせいぜい威力が低い22口径弾くらいだった。
しかし、シュレディンガー博士は独自の技術と錬金術により銃に改造を施し、その威力は戦車の装甲に穴を開けるという。
シュレディンガー博士の装備シリーズ(002)
特性防弾・防刃服。
シュレディンガー博士の服は、錬金術で特殊強化された繊維が使われており、与えられた衝撃の90パーセント以上を消去する。
シュレディンガー博士の装備シリーズ(003)
革製の財布。
産業革命時代、紙幣が流通し始めたことに伴って財布も広まった。シュレディンガーも旅の途中に物珍しさで財布を買ったが、その中身は……少ない。
常にギリギリの状態で旅を続けているシュレディンガーである。
シュレディンガー博士の装備シリーズ(004)
眼鏡は産業革命時代の直前から急速に発達したものだが、博士たちの時代にはまだ珍しいものだった。
博士が眼鏡をかけているのは、視力に問題があるためではないらしい。彼の過去に何か関係があるらしいが……?
シュレディンガー博士の装備シリーズ(005)
動きが止まった懐中時計。
シュレディンガー博士は、壊れて針が進まなくなった時計を常に持ち歩いている。何か特別な思い入れがあるようだが……?
懐中時計の蓋部分に刻まれている模様はかなり特殊なもので、一般的な店で売られているものではないようだ。
シュレディンガー博士の装備シリーズ(006)
白い手袋。
内側に特殊な護符が仕込まれており、邪悪な存在や魔力を退ける力を持つ。
その護符は、彼が独自に編み出した錬金術の秘術と理論を応用したものらしいが……。
シュレディンガー博士の装備シリーズ(007)
外出する時に履いているブーツ。
シュレディンガー博士は世界中を旅しており、山や森の中など様々な環境の中を歩き回らなければならないため、丈夫で耐久性の高い靴を好んでいる。
魔術・錬金術的なものは施されていないが、ちょっとした仕掛けはあるらしい。
シュレディンガー博士の装備シリーズ(008)
奇妙な文字が刻まれた拳サイズの石。
持ち歩いているのではなく、普段はシュレディンガーの研究室に仕舞われている。
石版の欠片らしく、片面が平らになっていて、そこには奇妙な文字が刻まれている。十六世紀の錬金術師ジョン・ディーが発見したと言われるエノク語に類似しているが、完全に同じではない。
また平らな面とは別の箇所に、小さく『Malchut』と刻まれている。
シュレディンガーの研究室
錬金術は神秘学と科学の狭間にある学問のため、使用される薬物には毒性や爆発生がある危険な物も多い。
地下にあるその研究室は、厳重に鍵が掛けられ、猫耳少女たちが興味本位で入れないようにされている。
しかし、実は研究室が立ち入り禁止になっている理由は、他にもあるらしく……?
シュレディンガーの挑戦
シュレディンガーの目標は、世界の真理に到達することである。
しかし、人間の寿命は世界の真理を極めるにはあまりに短い。その点、シュレディンガーはジルヴィアから永遠の命をもらっているため、研究に費やす時間は充分にある。
そして21世紀の現在でも、シュレディンガーは生き続けているはずである。
果たして彼は世界の真理に到達できたのか? 猫耳少女たちはどのように暮らしているのか……?
シュレディンガーの著作
シュレディンガー博士はある時期以降、精力的な執筆活動を始めた。しかし彼が書いた本は、すべて一般には流通せず、一部の好事家が個人的に模写して保管しているに過ぎない。
博士の著作には、『彼女たちの生態研究』シリーズ、『永遠について』、『起源と生命に関する新考察』などがある。
その大半は、猫耳少女たちについての研究をまとめたもの(『彼女たちの生態研究』など)である。また錬金術について書かれたものも、わずかながら存在するようだ。
シュレディンガーの旅行法
シュレディンガー博士の旅行法は、基本的に徒歩である。なぜならお金がないからである。
そのため、海を渡らなければならない国へ行く時は非常に苦労する。
とある猫耳少女の《アミュレット》のおかげで、その問題は解決したらしいが……。
シュレディンガー博士のお土産
寄宿舎内をよく見てみると、未開地原住民の仮面や日本刀など、「どうしてこんなものがあるんだ?」と思うものが時々目につく。
これらはシュレディンガー博士が世界中を旅する際に、お土産として持ってきたもの。ほとんどの場合はジルヴィアから「また変なものを持ってきて……」と呆れられているが、たまには彼女の興味を引くものもあるため、無下に持ってくるなとも言えないようだ。
シュレディンガー博士のジャケットの秘密
博士は真夏でも常に厚着で活動しており、季節感を考えないその服装は、寄宿舎にいる猫耳少女の一部から評判が良くない(曰く『夏にその服装だと、見ているこっちが暑苦しくなるわ!』)。
しかし彼がその服装にこだわるのは、何か事情があるらしい。
ときどき彼のジャケットから、ジャラジャラと金属音が響いたり、銃口のようなものが見えたりするが……?
シュレディンガー博士の出身地
シュレディンガー博士の経歴については、彼が錬金術師だった時代にすべて抹消されている。そのため、その経歴を辿ることはもはや不可能である。
出身地についても謎であり、名前も偽名の可能性が高い以上、推測することしかできない。しかし彼が主に使っている言語がドイツ語であることから、ドイツ語圏の人間とも考えられる。
シュレディンガー博士の書物
寄宿舎の本棚に置かれている書物は、シュレディンガーが研究のために蒐集したものだが、中には錬金術、魔術、神秘学に関する希少な本も多い。それらは神秘学を研究する者にとっては垂涎もので、一部の心無い研究者に狙われているらしい。
シュレディンガー博士の年齢
シュレディンガー博士に関しては、猫耳少女と同様に謎が多い。
いつの時代のどの地方出身なのか、現時点で彼の過去は謎に包まれている。
特に年齢に関しては、シュレディンガー博士はジルヴィアと出会った時、彼女の《アミュレット》によって永遠の命を与えられている。そのため彼の老化は停滞しており、見た目と実年齢は必ずしも一致していない。
シュレディンガー博士の能力
シュレディンガー博士といえば錬金術師だが、現在の猫耳娘たちとの生活では、錬金術師としての力を発揮することはほとんどない。
むしろ彼の能力として特筆すべきは、その器用さである。家事全般はそつなくこなし、日曜大工、裁縫、武器の作成、その他もろもろ……およそどんなことでもやってのける。
ジルヴィアの《アミュレット》
ジルヴィアの《アミュレット》は「時を止める」能力。
より正確には、「時の流れによって起こる物質の変化」を止めることができる。
そのため、ジルヴィアの《アミュレット》が作用した物は、どれほど時間が経っても老朽化せず、元の姿を保ち続けるのだ。「永遠を与える」能力とも言える。
ジルヴィアの飼い猫「シャム」
寄宿舎の中には猫耳少女以外にも、彼女たちの飼っているペットが住んでいる。
ジルのペットは猫のシャム。飼い主によく懐いていて、いつも遊んでほしそうにジルの周りを歩き回っている。
時々、人間の言葉を理解しているようにも見えるが……?
ジルヴィアの出身地
ジルヴィアの出身地はシュレディンガーの出身地から近く、中央ヨーロッパにある比較的田舎の町である。ドイツ風の彼女の名前はシュレディンガーが命名したものだが、元々ドイツ語圏の出身だった。
ジルヴィアの読書
シュレディンガー博士が猫耳少女探しの旅に出ている間、よくジルヴィアは彼が所蔵する書物を読んでいる。もちろん無断であるが、『従者(博士)の持ち物は自分のもの』という考えのため、ジルは断る必要性すら感じていない。
ジルは寄宿舎に来る前は誰も訪れない古い屋敷に閉じこもって暮らしていたため、外世界に関する情報に疎かった。そのため、根っからの読書好きというわけではない彼女だが、最近の世相を感じ取れる流行の本を読むのが楽しいようだ。
ただし、彼女が読んでいるのは、シュレディンガー博士の本。中には錬金術や猫耳少女の研究について書かれた書物も存在する。
それらの本を読むことで、ジルは博士でさえ知らない猫耳少女の秘密に気付いているようだが……?
ジルヴィアの名前
博士は命名したジルヴィア・エーヴィヒカイト(Silvia Ewigkeit)。Ewigkeitは「永遠」を意味するが、Silviaの由来は不明である。ドイツ語圏では実在する人名であるため、気まぐれでつけたという可能性もあるが……?
ジルヴィアの年齢
猫耳少女の出生に関しては情報が圧倒的に不足しているため、彼女たちがいつごろ生まれたのかは、はっきりしない。
猫耳少女たちの年齢については、その記憶を元に推測するしかないが、ジルヴィアには数百年の時を生きたという記憶があり、それだけ長い年月を生きてきたことがわかる。
数百年も生きれば、精神的に大人びていそうなものだが、ジルの言動・思考などは十代の少女と大きく変わらない。
人間とは心理構造、あるいは時間に対する認識方法が異なるのかもしれない。
ジルヴィアのリボン
洋館で生活していた時代から、ジルヴィアが愛用していたリボン。
飼い猫・シャムもこのリボンはお気に入りらしく、よく盗み出しては逃亡し、ジルと睨み合いになっている。
彼女が思い出せないほど昔から持っていたリボンで、いつ、どういう経緯があってジルがこのリボンをつけるようになったのかは不明である。
実は彼女の出生に深く関わっているらしいが……?
神話と猫耳少女
神話や伝説上には人間とそっくりの容姿を持ちながら、人外の魔法や奇跡を起こす存在が登場する。いわゆる『神』や『英雄』といった者たちである。
《アミュレット》の能力を考えると、これら伝承に残る超常者の一部は、猫耳少女と同一存在なのかもしれない。猫耳少女が伝説化されて神や英雄となったのか、逆にかつて神や英雄だった存在が猫耳少女に変化したのか……?
せ
生態ピラミッドにおける猫耳少女たちの位置
猫耳少女たちは身体能力がズバ抜けているわけではないが、《アミュレット》の能力次第では、無敵となる可能性もある。
ジルヴィアの『時を止める能力』が時間の流れそのものを止める能力に成長した時、もしくは今後なんらかの戦闘向けの能力を持つ少女が現れた場合、彼女たちに勝てる生物はいなくなるだろう。すなわち、生態ピラミッドにおける頂点となる。
猫耳少女たちの個体数が非常に少ないのは、ピラミッドの最高位たる生物だからかもしれない。
世界
時は産業革命前後――蒸気機関を使った車両や機械が発達する、とある国での物語。
シュレディンガー博士は購入した寄宿舎に猫耳少女を住まわせ、彼女たちに関する研究を続けていた。博士が世界中を旅して、猫耳少女を見つけては連れ帰ってくるため、寄宿舎に住む少女の数は少しずつ増えていく。
猫耳とシッポという人間にない特徴を持つ彼女たちだが、町にはもうすっかり溶け込んでいて、人々からは「少し変わった娘たちだな」程度にしか思われていない。
世界における猫耳少女の数
猫耳少女は永遠の命をもつため、基本的にいつまでも死ぬことなく生き続ける。ゆえに、他の寿命がある生物と異なり、種の個体数を増やす必要性はほとんどない。
そのため、世界に存在する猫耳少女の数は、常に一定を保たれているという説もある。
世界の記憶と猫耳少女
猫耳少女が時間を超えて生きる存在だとすれば、彼女たちの記憶には、地球の遠い過去についての情報も残っているかもしれない。
多くの猫耳少女は、あまりに古い記憶を持っていないが(ジルヴィアは数百年を生きてきたという実感はあるが、十数年以上前の記憶は曖昧)、もしその記憶を取り出すことができれば、地球の歴史に関する莫大な情報を得られる。
一部の猫耳ハンターは、その記憶を入手するために猫耳少女を狙っているようである。
赤貧の旅行者
錬金術師として活動していた時の財産を、寄宿舎の購入でほとんど使い果たしてしまったシュレディンガー博士。
そのため、猫耳少女探しの旅は常に財布との戦いになり、お金がなくなって食事もままならないことがしばしば。
行き倒れて旅行先の村人などに助けられた経験も多いが、博士は「現地の人との触れ合いは旅行の醍醐味だよ」と強がっている。
