1977年のMr.カラー誕生から今年で40年。模型と密接に関わってきたMr.カラーは「どうやって生まれ、どう変化してきたのか」。当連載では、当社とMr.カラーの歴史をご紹介してまいります。(不定期更新)

第一回の今回は創業から、当社がプラモデル関連の事業を手掛けるに至るまでについて取り上げます。

■会社の創業

創立者 林大作
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創立者 林大作

ご存知の方も多いと思いますが、GSIクレオスは2001年11月に社名変更するまでグンゼ産業という名前でした。そこからさらに遡ること70年――1931年に林大作という人物が、横浜に株式会社林大作商店というアメリカへの生糸輸出を行う会社を設立しました。この林大作商店が当社のルーツになります。

 

林は当社を設立する以前は、総合商社の鈴木商店のニューヨーク支店長を務めていました。鈴木商店は全盛時には売上が当時の日本のGNPの1割にも達したと言われる巨大商社でしたが、1927年の銀行の取り付け騒ぎの余波で破綻。商社部門は、子会社だった日本商業会社を日商(その後の日商岩井、現双日)と改称して再スタートを切りましたが、林は独立起業の道を選んだのです。

■社名変更と非繊維事業のスタート

1933年、生糸の取引を行っていた郡是製糸株式会社(現グンゼ株式会社)が当社に資本参加することとなり、翌1934年には社名を株式会社林大作商店から株式会社郡是シルクコーポレーションへと変更しました。
その後第二次世界大戦が勃発し、英語の使用を憚る時代となったことから、1942年、社名のカタカナを漢字に変えて、郡是産業株式会社に改めることになりました。

 

長く続いた戦争は1945年にようやく終結し、日本は戦後の復興期を迎え、途絶していた生糸の対米輸出も再開されました。しかし生糸の最大消費国だったアメリカでは戦後にナイロンが一気に普及し、生糸の市場はすでに極端に小さくなっていました。そのため当社は生糸以外の業務に進出することとし、メリヤス製品の取り扱いを始めます。やがて、1950年代になると繊維関連の機械や染料を取り扱うようになり、非繊維事業がスタートしました。

■ホビー分野への進出とレベルカラーの発売

 

1972年のカタログより、レベルカラー掲載ページ。当初は色数も非常に限られていた。

こうして現在の工業製品事業の基盤が生まれる中、1962年にアメリカのレベル社と総代理店契約を結び、レベル社製プラモデルの輸入を開始しました。当時、レベル社は模型用塗料として「レベルカラー」を発売していましたが、それは高温多湿がちな日本の気候条件では、扱いにくいものでした。その後当社は日本での使用に適した模型用塗料の必要性を感じ、その開発に着手します。塗料は自社開発による国産製品でしたが、当時のレベル社とのライセンシー契約に基づき、「レベルカラー」の商品名を冠して1973年に発売されたのです。このことにより、当社はメーカーとしての一面も持つこととなりました。

 

1971年には、創立40周年を記念して社名を郡是産業株式会社からグンゼ産業株式会社に変更しています。1973年にはレベルキット販売部を新設。レベル社関連製品は同部が担当することとなりましたが、1977年にレベル社との契約が終了したのを受けてホビークラフト部と改称し、同時に『レベルカラー』も自社ブランドとしての『Mr.カラー』に変更しました。

 

そして2017年。『Mr.カラー』は40周年を迎えることとなりました。

次回はグンゼ産業からGSIクレオスへの社名変更、そしてMr.ホビーブランドの誕生についてご紹介いたします。