1977年のMr.カラー誕生から今年で40年。模型と密接に関わってきたMr.カラーは「どうやって生まれ、どう変化してきたのか」。当連載では、当社とMr.カラーの歴史をご紹介してまいります。(不定期更新)

■塗料のために米レベル社とライセンシー契約を締結

当初はアメリカからキットとともに『レベルカラー』を輸入していたものの、日本の気候に合った、まさに日本のユーザーの為に作られたプラモデル用塗料の充実が模型業界の発展には不可欠であると考えた当社は、1973年に初めて自社開発のプラモデル用塗料を発売しました。名称はアメリカで販売されていたものと同じ『レベルカラー』。

 

塗料に『レベル』の名前を使ったのは、レベルとの総代理店契約によりレベルブランド以外の模型関連商品を販売できなかったということもありますが、当時は舶来信仰も強く、レベルの名前を使った方がユーザーに浸透しやすいと考えたためです。瓶に貼られていたラベルはレベルのロゴを彷彿させる青黄赤のストライプで、ラベルの右上に入っていたのも『Revell』の文字。さらにフタには『Revell Color』のロゴが入り、瓶の底にも『Revell』の文字が浮き彫りになっていました。(※その後、瓶の底の文字は『グンサン』へと変わります)

 

一見するとアメリカで販売されていた本家のレベルカラーと似通ったものではありましたが、各部材は実はメイド・イン・ジャパン。こうして登場したレベルカラーは、このあと当社のホビー事業の中核を為していくことになります。

■レベルカラーは純国産品

当社が開発した『レベルカラー』はその名称や外見からレベル社製の輸入品と思われることも多かったようですが、瓶も中身も全てが国内製造の純国産品です。名称や外観の意匠以外は当社が開発した完全オリジナル品でしたが、その開発の成功は偶然がキッカケでした。

 

始まりは1971年。
ユーザーの声に応える形で決めたプラモデル用塗料の自社開発でしたが、繊維や木材の商社からスタートした当社には塗料の開発・製造は全く未経験の分野です。当然自社だけで開発することはできず社外の協力が必要でした。そんな時、たまたま当社の近くにあったのが、塗料や樹脂材料の研究開発などを行なう化学メーカーの藤倉化成です(当時は東京の京橋に事務所がありました)。

 

どこに話を持ちかければいいのかも分からない状況の中で、近所のよしみ、ではありませんが、とにかく塗料の専門メーカーである同社に相談すれば何とかなるのではないかと考えました。そこで当時の担当者は、プラモデル用塗料を作りたいと、まず電話でアタック。それまで工業用の塗料の製造を主な事業としていた藤倉化成としては、個人ユーザー向けの塗料は手掛けたことがなく、当然ながら戸惑いとハードルがあったようです。しかし、幾度の折衝を経て、結果的に同社は一般市場向けの塗料開発スタートを決意。その後、両社は3年間、試作とテストを重ねに重ね、1973年に純国産プラモデル用塗料のグンゼ産業版『レベルカラー』が誕生したのです。

 

こうして「たまたまご近所だった」という縁から、プラモデル用塗料を二人三脚で共同開発することになった当社と藤倉化成。『レベルカラー』が『Mr.カラー』に名前を変えた今でもその関係は続き、両社の高品質にこだわる姿勢によって模型用塗料“メーカー”としてのGSIクレオス(旧グンゼ産業)が確立されたのです。

次回も引き続き、日本版『レベルカラー』の誕生秘話をご紹介致します。